遠藤周作 心あたたかな医療を考える」
   〜ささやかな願いを再び〜


   2002年3月31日、在宅看護研究センターの主催により、この会が開かれた。
   今回のプログラムは、講演と鼎談とを通じて、現在の医療への提案を行なうというものだっ
   
た。

   プログラムの第一部は、集い「今、改めて看護を語り合う〜ナースに求められること〜」
   
が、行なわれた。
   当初は20名程度のこじんまりとした会を予定していたが、参加したいという意欲のあるナー
   
スが集まり、予定を大幅に上回る、約100人近くの参加者で会が進められた。

   【この会の進行役からの言葉…】
     「改めて、看護を語り合う必要性を感じることができた。今日は本当の集いの入り口、改
      め
てこれから多くの人たちと語り合いながら、看護のこれからを一緒に考えていきたい
      と思っ
た。
     行動するのはどんな集団に所属していても、結局は自分。しかし、孤立するのではなく
      自
立する。その上で、それぞれの専門性、得意分野で、個人の活動を充実させながら、
      ネットワーキングしていく姿勢が重要。自らを律し、前向きに進む為に、様々な方面で活
      動している人とのネットワークを活用させてもらいたいと…。

      看護の活動の場や範囲が確実に拡大し、また、専門性が深められつつあることを実感
      できた。しかしやはり、自分達がそれぞれの立場でもっと活動を深め、厳しく高めていく
      為に、積極的にネットワークを活用し、広げていくことは、やや苦手な方が多いような気
      がした。これからも、また何らかの機会に様々に刺激しながら、お互いに高めあえる関
     
係が続くことを願っている。」


   プログラムの第二部は、医療評論家の行天良雄氏のもと、
   講演と鼎談が行なわれた。

     まず、在宅看護研究センター代表の村松静子による                          「氏の心を求めて〜遠藤周作記念文学館で感じたこと」

   遠藤氏との出会いを語り、2000年5月に遠藤氏の小説「沈黙」の舞台としてゆかりのあ
   る長崎県西彼杵郡外海町に開館した遠藤周作記念文学館の様子をスライドにて上映した。
                                          (番外編を見て下さい。)

   続いて、遠藤周作氏夫人の順子さんは、「夫・遠藤周作、私が今思う事」と題して講
   
演をした。

                    
   周作氏は本当は自宅で亡くなりたかった…と、『夫の宿題』という著書にまとめたと語った。
   周作氏の看病の間に医師から受けた言葉でひどく傷ついたこと、また一方では心あたたま
   
る医療実践している病院もある事を話し、患者側もこうした病院を探す努力をしなければな
   
らないのかもしれないと語った。

   続いての講演者は永六輔さん。テーマは「医療と心」。少年時代に入院した際にナースか
    ら勇気づけられたという体験談を語り、次に1月に亡くなった妻への介護体験から、幸せに
    生きるのは努力すればできる、しかし、幸せに死ぬためにはその100倍の努力が必要だ
    と話した。
                                  

   プログラムの最後は、遠藤順子さん、永六輔さん、行天良雄さんによる鼎談。

     

   永さんが実際に在宅看護を受けていた経験から、家に来ていたナースは「風のように入って
    きて、風のように去っていった…。」と話した。実際に永さんの妻の看護を担当した在宅看護
    研究センターのナースが壇上に呼ばれ、看護の様子を語った。(番外編を見て下さい。)

   幸せに最期を迎える為に同期生同士で貯金をし、
最後まで残った人がそのお金をもらって、
    盛大で楽しいお葬式をあげる事ができる…(永さん)というお話や、行天さんの母親を看取っ
    た体験、人間の心の話等々。

   また、参加者からも多数の意見や質問があった。
   患者さんや家族に為にもナースがもっと声を出して医療を改革して欲しい、死ぬ際には素晴
   らしい死に方をできるように努力して欲しいと語り、締めくくった。


*****番外編*****
 <その1>
   遠藤周作記念文学館〜〜外海町の海

    

     

    


 <その2>
   永さんの妻の看護の様子を語るナース

       
   

     永さん:いろんなお宅を訪問してると思うけど、入りやすい家とか入りにくい家とかある
           の?
          こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど…。うちはどうだった??
     看護師:インターフォンで元気に迎えてくださって、スムーズに入って行けましたよ。
          声のトーンが低いときは、何かあったなって、感じながら入って行きました。

     永さん:訪問してた看護婦さん同士で、噂とかしてたんじゃないの?
          正直に言えよ!!(笑)
     看護師:いえいえそんな…(オロオロ…)
          永さん、娘さん2人が、それぞれがそれぞれの役割をしっかりと果たしていま
           すねえ〜なんてそんな話をしてました。

      キャリアも教養もな〜んにもないふつ〜のナース。
      でもそんな私達が来る事を奥さんや家族は待っていた、と永さんは話してくれた。


 <その3>
  講演会が終了した後、裏では、地方などで個人開業しているナースらが集まり、それぞれ
   の活動や思いを順子さん、永さん、行天さんに伝えた。


  永さんと娘さん2人との再会に喜ぶナース   

 <その4>
  
銀座のとある中華料理屋の一室には笑いと熱気が漂っていた。12年前、在宅看護研究セン
   ターが開講した『開業ナース育成研修』の修了生たちと在宅看護研究センターの構成メンバ
   ー、総勢21名が集合し、個々人の現状やこれからの活動を語り合っていたのだ。

  われもわれもと語るものだから、ちょっとやそっとの声では聞こえない。大声を張り上げ「私の
   話を聞いてよ!」と主張する者、「ちょっと待って!私は絶対やる。そうよ、負けてなんかい
   ないわよ」と立ち上がる者、「え〜、私は何期生だか忘れましたが、ここで研修を受けたの
   は確かです」と、その存在をアピールする者、「まだ甘い、甘すぎる」と厳しく訴える者、それ
   はそれは個性溢れる人たちばかりだ。そこには経営で苦しむ悲壮感などはまったく感じら
   れない。勇ましさと頼もしさとあたたかな心が飛び交っていた。

       

  全国に散らばって、さまざまな形で‘真の看護’を求め続ける開業ナースたちに与えられている
   第一の課題はネットワークづくり

  『開業ナース』という名称にこだわればこだわるほど「GIVE & TAKE」をしっかり意識した多く
   の人たちと手をつなぎ、看護の価値を伝えていく。ナースの個人開業の道はもはや時間
   の問題といえる。その道は必ず拓かれると、皆確信している。

  しかし、道が拓かれるだけでは意味がない。
  同僚、そして関係職種や関係機関はもちろん、看護を受けてくださる本人・家族の皆
  さんが、その必要性を感じ、認めてくださって初めて価値があるといえるのだ。
  本人・家族の皆さんが、その必要性を感じ、認めてくださって初めて価値があるといえる
  のだ。
                             (enn 起業家ナースのつぶやきより)

 

 <その5>
   



          !在宅看護研究センターの皆さん、お疲れさまでした!

 


                          
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