『私が考える「看護の専門家」としての要件』

                                           下村 恭子

 
 今現在、私が考える「看護の専門家」としての要件は、豊富な知識、環境が違う所での経験の積み重ね、コミュニケーションの有り方だと思います。

 豊富な知識についてですが、豊富な知識を得る事は、応用能力が身につき、看護に役立つと考えたからです。本を読んだり、研修等に積極的に参加したり専門分野(医療以外)の人から教えていただいたりする事により、看護だけにとらわれない、柔軟な対応を勉強し、人生経験を豊かにするからです。そうすることにより、自然に応用能力が身につき、それと同時に、自分で色々な事を考え、看護に大切な観察力・洞察力もどのようにしていけばよいのか、身についていくと思います。

 次に、環境が違う所での経験の積み重ねと書きましたが、以下に書くような事で、私は大切だと考えています。病棟にて長く経験を積んだからと言って、すべてにおいて看護師として、経験をしたとは言えず、例えば、在宅看護をする時には、その経験をした事が役に立たない事が多いからです。
つまりは、様々な所で経験する事は、得るものが多く、その経験の積み重ねが身についていれば、患者・家族を支える事になったり、援助したりする事ができるのではと、思っています。

 最後に書きました、コミュニケーションの有り方についてですが、他にも沢山大切なコミュニケーションはあると思いますが、特に私は、患者・家族と看護師間でのコミュニケーションと、他の医療従事者と看護師間の連携、看護師間でのコミュニケーションの有り方が、大切だと思っています。

 患者・家族と看護師間でのコミュニケーションについてですが、少し経験の積み重ねにも通じると思います。教科書等で、コミュニケーションは大切だということを学んでいても、実際には、その人それぞれ違う性格や、生活環境の違いにより、学んだ事が生かせない事が多く、それを生かしてこそ、「看護の専門家」だと私は思います。学んだ事を生かせるように、様々な人とのコミュニケーションをとり、経験を積み重ね、一方的な援助にならないように努力していく事が、大切だと考えます。

 次に、他の医療従事者と看護師間の連携についてですが、どんな時でも、患者・家族を中心に考え、医師の方が上だから、看護師が下ということではなく、密に連絡をとり、情報提供したり、されたりする事で、連携をスムーズにしていく事が大切だと思います。

 そして、看護師間でのコミュニケーションについてですが、他の医療従事者との連携が密にとれていても、看護師同志のコミュニケーションがとれていなければ、情報提供は、役に立たず、患者・家族へのよりよい看護ができなくなってしまうからです。

 患者・家族と看護師間、他の医療従事者、看護師同志等すべてにおいて、人間関係やコミュニケーションが、円滑にいかなければ、「看護の専門家」とは、言えないと思います。
そして、どのようにしたらよりよくなるのかを考え、実践していく事が「看護の専門家」として大事なことだと思います。すべてに共通して言える事は、患者・家族中心で考える事が何よりも大切な事です。

 私は、上記に述べた事が、「看護の専門家」としての要件と考えています。しかし、実際には、「看護の専門家」としての要件は、まだまだ足りないはずです。でも、その足りない部分をこれからも自分で考え、時に助言していただいたりして、補足していきたいと思っています。そのためにも、上記に述べた事柄を続けながら、積み重ねていきたいと思っています。



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