いつでもどこでも、好きな時に必要なことを学べるための方法論を位置付けることを目標に、ハード制作会社とソフト制作会社とで共同開発中のネットラ-ニングを御紹介
 
 この研究会を発足させようと思ったきっかけについて
21世紀は人作りが大切と感じています。プロフェッショナルの多い医療界では、そのプロを指導する人が必要です。しかし、この指導者がなかなか見当たらない。在宅看護の分野では幸いにして、地道に実績を積み上げてきたグループがあります。在宅看護研究センター・村松さんのところには、もったいないくらいの人材養成のための資産と実績があるのです。私はもう6年近くになりますが、長い間、村松さんらの活動を見てきた一人です。その確かな信念とたゆまない努力、環境に立ち向かう勇気、時には挫折する姿も見ましたが、一貫して揺ぎ無かったことは、患者さん中心の看護、医療を提供しようという姿勢でした。主体が株式会社であれ医療法人であれ個人であれそれは変わらないことなのです。そしてなにより驚いたことは、人作りにすでに取り組まれていたことです。培われたノウハウは本物です。それは、広く伝えていかなければならないものです。人材養成の発信源として、この研究会を立ち上げたのです。村松さんも同じようにお考えでしたので、すんなりと決まった次第です。

 現在行っていること、考えていることについて
看護分野でのネット・ラーニングは、忙しすぎる看護職にある方には欠かせないものになるはずです。なぜなら、いつでも好きなときに、好きなものを、好きなだけ学べる手段がそこにはあるからです。教材はインターネットのホームページ上におかれているので、ホームページにアクセスできる環境であれば、自分の好きなときにテキストを学べるわけです。疑問点は直ちに講師にメールで送ることができます。また、受講者同士のディスカッションは、メーリングリストというインフラを使えば、通常のメールでみんなに送信することができるのです。現在、実験的な位置付けでもありますが、この看護分野でのネット・ラーニングの実証実験を進めております。それが「在宅看護論の教授法エッセンス」なのです。

 今後、さらに行いたいこと
看護分野に限らず、医療・医学、介護の分野でも同じようなネットラーニングに取り組みたいと考えています。来年からは、動画コンテンツの配信がやすく手軽にできるようになるはずです。そうすると、通常の講演、セミナー、研修をそのままデジタルビデオに収録して、それを編集しなおしてホームページ上で提供することが可能になります。看護、医療・医学、介護分野ほど、動画情報が必要な分野はないのです。動画配信、受信のインフラが整えば、今のテレビ以上に鮮明な画像情報を提供しつつ、リアルタイムで教育・研修番組を提供することも可能になるはず。結果をライブラリーとして蓄積していけば、それこそ「いつでもだれでも、好きなものを好きな時間に、好きなだけ学ぶ」ためのコンテンツを用意できるわけです。それはいずれは、日本の医療水準を高めることにつながるはずです。私は、その先鞭をつけたい。新しい教育、自己研修方法を開拓したいと考えています。

 日経BP社と在宅看護研究センターの役割分担
以上の夢を現実のものとするためには、優秀なコンテンツを開拓する必要があります 。日経BP社の役回りはまずそのコンテンツを探し当てることです。在宅看護分野に付きましては、村松さんのグループに出会ったことで、優秀なコンテンツに出会ったと思っています。
在宅看護研究センターの役割は、すでにある有力なコンテンツをネット対応にするだけです。

 今後について予測していること(インターネット教育の可能性)
すでに書きましたが、インターネット教育は、その手軽さからかなり急速に広がっていくはずです。ただし、裏打ちとして、本当に役立つ教育情報があることがなにより必要です。
あくまでもインターネット教育は、実際の研修、教育を補完するものと認識しています。
インターネット教育だけで完結はしないという意味です。通信教育と同じで、やはり実際の研修(リアル)と密接につながっていないと成功しないと思います。その意味では、リアルとインターネットをセットで番組にできるところとパートナーを組んで、さまざまな番組を提供したいと思います。
  
以上、日経BP MED WAVE編集長 三和 護 氏によるお話でした。

一方、在宅看護研究センタ-代表・村松 静子氏は、
・ 編集長の熱心さに惚れ、意気投合。また、自身もその必要性を強く感じたこと。
・ 日経BP社がこのビジネスパートナーとして最も適していると感じたこと。
・編集長が教育の必要性をしっかり理解していると感じたこと。
・ 時代はIT社会。そこに、今最もほしい心をどう付けるかが問われている。そこへ挑戦したくなったから。
・いつでも、どこでも学べる補足的な看護教育をしたかったから。
・ 今後は、絶対売れると思ったから。
・ やってみたかったのよ。
と、発足にいたるきっかけを述べた。さらに、インターネット教育について
「リアルとの組み合わせが不可欠。そこを在宅看護研究センターで行っていきます。」と結んだ。

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 看護ネット・ラーニング研究会の活動・その後1
2001-10


  現在、第2回目となるコース「在宅看護論の教授法エッセンス」を開講中。
  第1回コース修了者からの手紙をいただきましたので、一部をご紹介します。

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私は、特別養護老人ホームに勤務して6年(看護婦は20年以上)目、医務室の責任を持たされている者です。

 私が受講してよかったこと
教科書からだけでなく実践から生まれた科学だと思い、テキストを読んでいて心の中に染み込む様に入ってきたこと。
基本と現実の違いを考えさせてくれることを投げかけてもらったこと。
自分の考え方に改めて確信が持て、討議を通していろいろな立場の方の意見が聞け、自分の考え方に幅が出来たこと。(もう少し討議が出来たらと思いました。自分も参加できなかったのですが・・)

 私の反省
いつでも自分の好きな時間に受講できることがメリットなのに、自分に甘い私にはデメッリットになってしまったこと。
自分の考えを文字に表現することが苦手なため、ついつい質問をせず時間を費やしてしまったこと。
パソコン操作がまだ本当の新人のため、上手く活用できなかったこと。

 コース終了後、生かされたこと
1. 特養の介護職と看護職の新人教育及び職員全体の研修委員の立場で
現場で抱えている問題を解決する上で各々プロとして担う役割を考えられるようにすること。
問題を解決するために必要な実技実習の企画・実施。
24時間責任をもって入居者の安全と安楽を確保する為に不可欠な介護職と看護職の協働についての意識化をすること。(現実とのギャップがあるために)
現在、新人研修を実施しているが、受講したことによって、これまで以上に説明を加えることが出来ているし、私なりの意見にも自信を持てるようになっている。
2. 特養の現状として、医師は非常勤、夜間の看護婦不在でも運営可という基準の中、医療行為や複雑な介護の必要な方が増えていることを念頭に介護職の医療行為禁止についての問題がある。講義の中での質問に対し、
(1)受け入れ体制作りが必要
(2)現状分析及び今後を予測して、事業者として人員配置を考える必要がある
の二点を指摘された。
そこで、その後園長と話す機会を得た時、
a. 現状における問題点及び介護福祉士の医療行為の問題について
b. 今後、終末期の方が増えていくのではないかという点について
意見を述べた。そして、今後はせめて大変な対象者がいる時は、看護婦の当直制を考えていただきたい旨も伝えた。
それに対する園長の答えを次のように得ることができた。
a. については、今後、何人増やせれば夜勤が可能か
b. については、その通りである
さらにその後、理事長から質問されたときも、先を見通し、含みのある意見を述べることができた。

受講することによって、毎日の仕事の中でこれまで以上に、必要な所で必要なことを私の心の引出しの中から出せるようになったように思う。


    ========= 主催者側の感想 =========

第2回目の講習も最終段階に入っておりますが、今回グループ討議が結構ありました。質問も多かったです。
私としては、在宅看護の現場はいろいろな問題を孕みながら、携わっている専門家の意気込みあるいは熱意で進められているという事実を確認した次第です。
                          日経BP MED WAVE編集長 三和 護 氏−


 


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