紙屋 克子 Kamiya Katsuko      



知る人ぞ知る。脳血管障害により意識が蘇らず、医師から見放された人たちを、看護の心と技を駆使して、その人をその人として見事に蘇らせた。彼女こそが、ナースの存在価値を社会に向けてアピールした第一人者である。現在は筑波大学社会医学系で教鞭をとりながらも、あくまで看護実践にこだわり、看護技術の向上に余念がない。


 

紙屋 克子の部屋
open the door!!
理論と実践に基づく21世紀の看護の現状・展望・課題を
熱く、楽しく、優しく、そして力強く語りかけます。

 

 

 
vol. 5
 

今年の研究課題と活動〜経過報告

2002-10-26
 
 

お久しぶりです。

「紙屋克子の部屋」を6ヶ月間も更新できずにおり申し訳ありませんでした。
お聞き及びの方もいらっしゃるかもしれませんが、6月に体調を崩し入院治療の後、しばらく札幌で静養しておりました。おかげさまでいまでは近くの北大校内を楽しく散歩できるまでに回復し、10月末には筑波大学で通常業務に復帰できる予定でおります。励ましのメール等をいただきありがとうございました。

 前回お知らせいたしました「今年の研究課題と活動」の@について経過報告いたします。

@長期の意識障害からメール交換ができる程度に意識が回復しているのにもかかわらず、発声困難・会話によるコミュニケーションがとれない方のための看護プログラムの開発:
5月11日〜12日 3名の対象者とその家族、看護職、嚥下障害の専門家、栄養士等総勢45名で合宿研修を行いました。

対象者にはいくつかの共通する問題点があり、これらを克服することによって、発声が可能になるのではないかとの仮説のもと、プログラムを開発し実践したところ、A氏は16年ぶりに「ハイ」と返事ができた、B氏は妻に「おはよう」の挨拶ができた、C氏は上を向いて歩こう」をキーボードの伴奏に合わせて歌えた等全対象者に成果がありました。現在さらに研究を進めているところです。

写真は温浴によるエクサスサイズ(頭と手は私とPT),PTによる温浴前・後の関節角度測定,黒岩歯科医師による咀しゃく・嚥下筋のストレッチとエクサスサイズ,「上を向いて歩こう」を歌っているC氏,バス3台に分かれて帰路へ(最後のグループ)です。

 

        

             

                

このプログラム開発のヒントになった発声に関する多数の論文の著者である京都大学の霊長類研究学者正高先生を、11月26日(火)筑波大学における「脳と心のアメニティー」の特別プロジェクトのシンポジストとしてお迎えする企画が進んでいます。正高先生には(同日の午前)特別講演の依頼をしていますので決まりましたらお知らせいたします。
 

 

 
vol. 4
  今年の研究計画 2002-4-20
 
  −今年の研究計画−

 でもそのまえに私の看護活動や研究に関心を寄せてくださるみなさんのメールに励まされています。ありがとうございます。
2月から3月のできごと。

 2002年2月16日(土)、つくば市の国際会議場で茨城県看護研究連絡協議会主催による「生活支援技術研修会」がありました。この研修会は生活支援技術の向上をはかり、茨城県から「寝たきり患者等」ゼロを目指すこと、技術を通して地域医療の交流、連帯をはかることを目的に茨城県下、17施設から看護職者70名(主任、婦長クラス)が参加し、理論学習と技術演習を中心に交流しました。

 3月1日、兵庫県加古川看護専門学校に伺いましたおり、私のナーシングバイオメカニクスに基づく生活支援技術自主学習グループ存在を知りました。丸岡先生の説明では大阪、兵庫、高知、愛媛、福岡から6名の看護教員が学生や看護職への技術伝達の指導案・指導方法・媒体の検討と、実施の評価を行いより効果的な指導ができるよう年4回程度、休日を利用して研鑽しているそうです。じつは関東ブロックにも同じような看護教員の自主学習グループが活発に活動しています。
いま、東京をはじめ全国で看護部長を筆頭に婦長クラスや主任クラスまでがいっせいに「ナーシングバイオメカニクスに基づく生活支援技術」を院内に普及させようとする施設が出てきていることも本当にうれしい限りです。他にも同様趣旨の研究グループがありましたらご一報下さい。相互に交流いたしませんか?
さて、今年の研究課題と活動は

@ 長期の意識障害からメール交換ができる程度に快復しているにもかかわらず、発声困難・会話によるコミュニケーションがとれない方のための看護プログラムの開発
(5月11〜12日 4名の対象者とその家族、看護職、嚥下障害の専門家、栄養士等30余名の合宿研修が準備されています)
A がん患者さんの倦怠感を軽減・解除する看護支援方法に対する生理学的実験評価
B 意識障害の患者さんのための家族介護教室の開催
C 看護リハビリ
ケアの提供自体が患者の自立を促進(ブラッシングや衣服着脱における筋力低下防止等)
する研究
D 研究室解放 生理学的実験研究を中心とするセミナー開催

以上


 


 
vol. 3
  拘縮改善プログラム
2002-2-1
 
 

新しい年の初めに皆さんはどのような計画をもたれたでしょうか。

昨年から在宅にいらっしゃる遷延性意識障害の患者さんを訪問して、
ご本人と家族の方々の実態を調査しています。
多くの患者さんが強い拘縮と極度の低栄養状態にあり、反省と驚きの連続です。
 
家族の皆さんの希望は「拘縮している身体を楽にしてほしい」とのことでしたので
拘縮解除のプログラムを作成し、実践したところ、除脳拘直、除皮質拘直に著効が認められました。
各関節の拘縮改善プログラムも開発中です。
急性期の看護の責任を痛切に感じています。
 
いづれ病棟全体で取り組む用意のある看護チームの皆さんには直接プログラムを解説する機会を考えています。

 

 

                

 

 

       vol. 1・2  紙屋克子の部屋 open the door!! / お知らせ 


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