〜第2回 公開ワークショップ 報告〜

  「看護の値段について 
       〜自分達の看護にいくら払いますか?〜」


ねらい: 自らの看護に支払われている値段を改めて理解することにより、専門家として      の責任を自覚する
       

*プログラム
司会:永野 受付・雑用・書記:澤田、下村

・10:30〜10:40 あいさつ(今回のテーマを取り上げた理由についてなど)   永野
・10:40〜12:15 参加者の今回のテーマについての印象、学びたいと思っていること
             ラーニングナース・ 参加スタッフ・参加者自己紹介今回のテーマについての自分の
             考え
・12:15〜12:25 アドバイザーより一言 (ラーニングスタッフの誕生の経緯・今後の挑戦など)                    
                                                     村松代表
・12:25〜12:30 第1回のワークショップの報告/ラーニングナースの学びの歩みについて報告
                                                    澤田・下村                        

12:30〜13:30 ランチタイム

・ 13:30〜13:40 3つの約束                            永野
・ 13:40〜15:30看護の値段について

Uグループに分かれ「私は1ヶ月いくらほしい。それはなぜか」ということをまず個人意見を出しグループの
  意見としてまとめる。(職業ということは関係なく、現時点から将来のことを含めて生活していく上での
  ことを考えて)
 グループワークでの意見を元に一般的な考えから、経営者としての考え、看護の値段を考えるとき
  必要なことへと講義される。                                  村松代表

・15:30〜15:45 参加者より本日の学びで感じたこと、考えた事、疑問に思ったこと
・15:45〜15:55 アドバイザーより本日のまとめとして一言         村松代表
・15:55〜16:00 次回以降のお知らせ・アンケートのお願い          永野
*出された意見の一部抜粋

1) 今回のワークショップのテーマについての印象・学びたいと思っていること

・ 現在、病院の医療相談をナースの立場で在宅支援室で行なっているが、病院においては収益にならな
  い部門である。また、何をしてくれるのか?ということのDr.のコンサルテーションと異なり認知度が薄い
  ところもあるが自分自身はとても必要なことだと感じている。看護の値段ということで、自らのしているこ
  とに値段がついていないという疑問と訪問看護などについている値段と照らし合わせて学びたい。
・ 看護料について病院勤務時代にはあまり意識していなかったが、自分が入院したり子供が病気したり
  して初めて気づいた。看護料は私達がどうアプローチしても内容が見えて来ない。村松先生の講義を
  聞き、ナースとしてアプローチしていくために自ら看護の値段をまず知りたいと思った。

2)看護の値段について考えること

・ ナースの役割とはなんだろう?自分がその対価を頂けるだけの看護をしているだろうか?ナースとしてな
  にができる存在か伝えられるように考えたい。
・ ナース以外の立場では〜ナースかヘルパーかどちらを選ぶかは、受ける立場としてはそれぞれ選ぶ可
  能性があって当然。選択したときに自 分が求めていたものが提供されていれば納得し満足するし妥
  当な対価であると思う。ナースの専門性について最初は医療行為にばかり目 が行って圧倒されてい
  たが、最近はそれ以外の大切な部分の役割を感じている。
・ 例えば分娩に関しては、その日との価値観でお金をかけて出産する人もいれば、ごく自然な形で行な
  う人もいる。その人が求めていれば妥当ということもいえる。

3)グループワークでの意見

・ 1ヶ月平均30万円という意見が出た。理由としては、生活に20万円必要とすると貯蓄とゆとりを考えた。
  高い値段がでなかった理由は、その分働かなくてはならないので時間をけだられたりするリスクがあると
  いうこと。
・ 生活費で最低限30万円必要で貯蓄や将来のことを考えると40万円1ヶ月ほしい。
 代表より・・・本当にこれでいいですか?あなた達は標準的な生活というのが自分の中にある人達でとて
  も考えが狭い。夢や願望はないですか?とても現実的過ぎです。「私はこうなりたいこうしたい」があるで
  しょう?現実的なことばかり考えていたら看護師は雇えない。病棟の看 護料が24時間で患者さん1
  人当たり5千円〜6千円でしょう。20名いる病棟で約12万円・・・1ヶ月と考えるとそれだけで給料を
  支払うなんて無理でしょう。経営者としての給与の考え方を話す。理想と現実のギャップはあれど夢が
  あるから面白いし楽しくやってゆける。もう一度3つの約束を踏まえ、やっぱり自分はこれくらいほしいわ
  を出してください。
・ 1月90万円から140万円という意見になった。今までの現実的なところに将来の貯蓄や夢に対して
  必要なお金を割り出した。

*代表・村松より

例えば2Lのペットボトル飲料はいくらですか?
約300円/本にどれ位のコストがかかっていると思いますか?

いろいろな形で人件費がかかっているわけです。たとえ100人でこれを作っていても、出荷数が増えれば、儲けがでるわけです。看護には人件費が含まれていません。
病棟では24時間1名あたり、約64円、在宅では介護保険・医療保険でそれぞれ値段が決まっていますが、看護師が看護サービスにおいてもらえる対価は現状ではこれが全てです。みんなの発想は、雇われの発想で、それでは夢の実現は無理でしょう。Drの場合、開業を最初から考え、自立(自律)をめざしている人が、例えば一晩あたりの夜勤の平均的なバイト代、Dr12万円、ナースは1.2万円というのが実状です。組織として考えたとき、窓口・管理者の役割が非常に重要で、それがないと成り立ちません。しかし看護の報酬では、そういうものが行きつかないのです。独り歩きできないということです。でもこれが一般的なナース(100万人の)に対しての、良くも悪くも評価なのです。そうすると、夢も見ず、文句を言わずやっていく事が現状になってしまいます。
企業の人は、資格なんて持っていなくても、たくさん成功している人はいます。開業ナースとはいろんな所を認められながら、きちんと売れるものでなければいけません。

私は、看護職でない人に支えられています。看護のみだと、とても狭くなってしまいますから、私だったら、先ず窓口に一番にお金を出すと思います。とても重要だと思うからです。しかし、その中でも一般的に標準の看護料が決められていることは仕方がなくあります。
看護教育、実践に対しては、結果と評価が必要だと思います。(結果に対しての評価と、評価することから生じる結果の両方において)看護職として勤めるのか、自ら開業するのか、認められるよう努力するのか?私はナースだから、力がある人に+αを出したいという思いがあるが、現実的な介護や診療報酬にばかり目を向けて考えたら、雇えなくなってしまう。だからこそ、質が問われてきます。

私は必ず結果はついてくる、やり方は私が選び看護値段もそれについてくると思います。今まで決して満足はしていません。

*質問

Q1 結果と評価が重要だとの事ですが、評価としての基準は?

 ⇒独りのナースとして、存在する○○として、先ず認めてもらう。その評価としての対価、そして個人だけ
   でなく、その方法、全てを含めての評価もしてもらう。

Q2 ホームページ上で、有料の値段について載っていないが、問い合わせがあった際など、どうしている
   のか?

 ⇒すごく複雑な料金体系な為、しっかり説明が必要。値段だけだすと、その値にだけ反応していまうか
   ら。

Q3 例えば、映画とか、あらかじめ拝観料があるが、看護はその場で提供されるので、事前に説明がで
   きるのか?

 ⇒例えば遠隔地移送等の事例をあげた上で、そこにかかるコストを出すという方法もある。意見として
   反映させていきた。

Q4 事例によって違うのか?

 ⇒当然そうである。例えば、指名料という形でつけたこともあったり、ケースによって、とても細心で厳密
   な管理が必要な場合等、オプション料金をつけるということもある。

  受けてみなければわからないというのはおかしい。事例をあげて、対価の必要性を文章であげればわ
   かるはず。Drでなければというケースがあっても絶対にナースでなければいけないというケースはな
   い。
  だからこそ、選ばれるには? 相手に伝えられ、わかるものを出していかなければならない。それがで
   きたら、看護の評価はもっとあがるはず。

 

全体を通しての感想


 ・今の医療制度の中で仕方ないと思っていたり、自らの行っていることに収益がないことに対する甘えの
   部分もあった。しっかり対価があると考えたら、責任や自覚が生まれてくる。

 ・改めて、看護の値段を知ることで、自ら社会に対してどのようにアピールしていったら良いか、今後の
  課題である。

 ・いろいろな経験を持つ人たちと、別の角度で意見を出し合うことで、また改めて気付き、学ぶ機会と
   なった。


以上、第2回公開ワークショップの一部を紹介させていただきました。

 


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