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2003.10.18シンポジウム&交流
<第2弾 理想と現実のギャップ「戸惑うならギャップを埋めよ!!」>
 
                             ラーニングスタッフからの報告
                                        
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  プログラム   13:30〜16:30

開会挨拶   日本在宅看護システム社長 仲野 佳代子

シンポジウム 「テーマ:ギャップを抱えて、今 〜一歩を踏み出すために〜」
       シンポジスト:澤田仁美・永野由佳・下村恭子・板垣友子・中西真理
         座長  :倉戸 みどり(日本在宅看護システム)

ワークショップand 交流

講演     在宅看護研究センター代表 村松 静子

質疑応答

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□■ ねらい:@シンポジウムを開催することにより、自らが成長する機会となる

           A参加者と交流し一緒に気づき・振り返り・行動化する機会となる

□■ このテーマを取り上げた理由  
     
       理想と現実のギャップに戸惑った時、私たちは相手を非難したり環境の不満
        を感じたりしやすいが、まず相手を非難する前に自分を見つめ、振り返り、
        自分は何がしたいのか、何ができるのかを自問自答することが必要であると
        考えられる。第一弾「理想と現実のギャップ〜戸惑う前に己を知れ」では
        自分を知るということが、一歩前進するために大切であるということを参加者
        とともに学んだ。
       第2弾では、第1弾を踏まえて、参加者各自が己を振り返り自分の傾向を
        知った上で、そのギャップを埋めるための一歩を踏み出し行動化するきっか
        けを得る会にしたいと考えた。

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 シンポジウム 「テーマ:ギャップを抱えて、今 〜一歩を踏み出すために〜」

  シンポジスト:澤田仁美「子育て・家庭・仕事・学びの中から」
          永野由佳「理想の看護を求めて〜学びつづけるということから〜」
          下村恭子「自分が望む看護の環境とは」
          板垣友子「連携〜情報交流とは」
          中西真理「理論と実践の融合」
 
       (在宅看護研究センターラーニングナース、日本在宅看護システムスタッフ)

    座長  :倉戸 みどり(日本在宅看護システム)

□■ シンポジストの発表の概要

澤田:「子育て・家庭・仕事・学びの中から」というテーマで、働く母親としての姿勢を見せ
     ながら取り組んでいる現実を語った。

〜ターミナルの患者の「俺の生き様を見て学んでくれ」といわれた言葉が教えてくれた、
「患者から学ぶ」ということ。そして今、療養者・家族からは勿論のこと、母親の生き様を見て成長する子どもから、周りのすべてから、多くの学びをもらっている。自分の理解者・応援団の存在に感謝しつつ、働きながら学び続ける必要性を実感している。〜

永野:「理想の看護を求めて〜学びつづけるということから〜」というテーマで、これまで受
     けてきた教育を振り返りながら自分自身を築きあげるのに必要なことを語った。

〜理想の看護を求めて、ひいては自分自身の自己実現につながっていくことだと学び続けてきたが、現実の自分とのギャップは中々埋められなかった。今、ラーニングナースとして働きながら学ぶ中、ケースを通してつかんだ「逃げずに向き合うこと」や「意欲に働きかける看護」「現象の奥にあるものを追及すること」など本来の看護に立ち返り、その力をつけていくことの大切さを感じている。〜

下村:「自分が望む看護の環境とは」というテーマで、今までの自分を振り返りながら、
     過去と現在の自分の変化を語った。

〜今まで環境や組織のせいにしていた自分の弱さに気づき、自分自身の限界を見つめ、理想と現実に向き合いながら、前向きに進もうと思えるようになった。今、新たにホスピス・外来・在宅という地域に密着した場で新たな一歩を踏み出している。〜

板垣:「連携〜情報交流とは」ということをテーマに、病院とは違う在宅という新たな
     フィールドの中で連携を様々な角度から考え、戸惑いの中から見出したもの
     を語った。

〜在宅では、他職種との連携を円滑に図ることが重要である。病院とは違い、相手の顔や状況が見えない中、自分の相手への構えや思い込みが壁となりより難しくしていることに気づいたことで一歩前進できた。これからもどのようにコミュニケーションをとるか悩みながら療養者・家族にとって最善となることを考えて行動していきたい。〜

中西:「理論と実践の融合」というテーマに、理論を突き詰めてきた自分が実践の場で
     感じてきたことを語った。

〜大学・大学院で理論を突き詰め「がん専門看護師」の資格を取る実践の場として在宅の道へ入ったが、学んできた理論が実践に上手く生かせない葛藤の連続であった。実践の中で理論を結び付けていくことの難しさを感じながらも、それは特別なことをするのではなく、自分の壁を開示し振り返り共有できる場・意見交換できる場を持つこと、今まで学んできた身近にある本を読み返してみることなどが必要なのだと感じている。そして医師とは違う看護師としてできることは何かを今問い続けている。〜

□■シンポジウムでの質疑応答での意見

Q)(訪問NS)板垣さんが連携していく中で、なぜ医師に情報が届いていなかったの
か?


Q)(看護大学生)大学・大学院を経て実践の場にいる中西さんの視点で、4年生
大学の教育のありかたをどう考えるか?

              


ワークショップand交流

シンポジウムのテーマごとにグループに分かれ、交流・グループワークを行った。参加者は自分の関心のあるテーマのグループを選び、シンポジストはファシリテーターとなって集まった方々と交流しながらディスカッションしていった。
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永野グループでは…テーマ「理想の看護を求めて〜学びつづけるというこ
ととは〜」

澤田グループでは…テーマ「子育て・家庭・仕事・学びの中から」

    


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 講演     在宅看護研究センター代表 村松 静子

講演のはじめに、村松はこの会の中で出された意見を聞いての感想を「理想と現実のギャップには欲張りが絡んでいる」と話す。子育て、学生など一人何役もしながら35年間やってきた村松は、理想と現実のギャップがある中で、「自分の足りなさ」を補いつつ「自分のできるところ」を少しずつ削りながら、何処に理想を掲げるか、が重要だったと思うと語った。
そして、限られた時間の中で、会場から出された質問に対し答える、という質疑応答の形で進められた。

   <会場から出された質問とそれに対する村松の回答>

Q)(学生より)実習などの現場で感じることは、ナースはどうしていろいろな考えを持っているのに、言いたい事をうまく伝えない・話さないのはなぜか?

Q)看護をお金にすることの理想と現実のギャップについて知りたい。

Q)(家族の立場より)家族が情報を知れるシステム・ネットワークは・・・

Q)(家族の立場より)お金がないと望むサービスが受けられない現状がある。

Q)(家族の立場より)自分も何か動きたい。国の施策が必要だと思うが、何ができるか?


□■ アンケートでの意見一部紹介

□■ラーニングスタッフとしての学んだこと

<シンポジウムでは…>

今回5人ともはじめてのシンポジストの経験で、まず自分達が何を話して良いのか、気負いが先に立っていたが、自分が一番話したいことを挙げ、少しずつ皆で読み合わせをした。原稿を確認する中で、限られた時間の中で自分の訴えたいことをいかに伝えられるかに挑戦し、個人のテーマを挙げることができた。それぞれ素直に感じている「ギャップを抱えて、今〜一歩踏み出す為に」を話し、互いの持ち味を出すことができたのではないだろうか。

<ワークショップ・交流を通して>

シンポジストが今度はファシリテーターとして自分のグループを作ったが、限られた時間の中でグループによって人数のばらつきがあり、意見を吸い上げることの難しさやまとめようとしてしまうことから逆に意見を充分に引き出せないということもあり、初めての経験にそれぞれが学ぶことがたくさんあった。いろいろな方々と交流し意見を聞くことで、現状の問題点やニーズを知り視野が広まる機会にもなった。


このシンポジウム・ワークショップで改めて感じた、会を持つことでの自分達の学習効果・意味