起業家ナースのつぶやき    村松 静子 Muramatsu Seiko

  vol.31   40年の歴史をもつ企業内大学老舗『ハンバーガー大学』
  2004-02-04

経営戦略との連動という点から、昨今注目されているのが「企業内大学」で、その設立がブームになっているようだ。

日本能率協会は、企業内の能力開発活動を通じて、体質が強化されたり改善された企業を88年から表彰している。回を重ねて16回目の2003年度、「能力開発優秀企業」の本賞に、日本マクドナルドの「企業内大学(ハンバーガー大学)を中核とする総合的人材育成」が選ばれた。審査は「経営理念と能力開発がいかに連動しているか」「プログラムのユニーク性」「能力開発に対するトップ・幹部の姿勢」など、全部で5つの視点から審査員が得点をつけて評価するという流れで進められる。
社内教育の必要性を大いに感じ、それなりに実践してきたつもりになっている私にとっては、実に興味深く、頷ける内容である。そこで、「最終学歴はハンバーガー大学」が合言葉の日本マクドナルドの事情を、公表されている範囲で整理してみた。

* 貴大学のカリキュラムは、アメリカで用いられているテキストの翻訳版に加え、日本独自の
   ものを開発している。
* 階層別に多様なプログラムが用意されている。
* 新入社員は入社と同時に、貴大学で授業を受ける。
* 研修内容は現場と密接にかかわっており、店舗を任されている店長らも講義を受けなけれ
   ばならない。
* 社員だけではなく、パートやアルバイトの職員も受講する。
* 授業内容は、最新の現場の課題を迅速に取り入れている。

マーケティング、マネージメント中心の授業内容である。たとえば店長であれば、店舗運営のための人事や組織心理学なども含めた経営学の授業を行っている。正に、ハンバーガーの作り方を教える学校ではないことが理解できる。"人材育成がすべての経営活動のベース"という哲学が設立の背景にある「ハンバーガー大学」は、今ではドイツやオーストラリア、そして日本と、世界各国に広がっているのだという。

この動きは、ここ数年、国内でも急速に見られるようになっている。売り上げの0.4%を研修費にあてているという会社もあれば、会社の精鋭として選ばれた人には、3ヶ月間、通常業務を離れ、みっちりと研修する。その予算は一人1000万円かける、という会社も出てきた。それは大手企業が中心で、生き残りをかける企業に広がっているのだ。

 

今では、私たち看護職集団のような小さな会社でも、趣向をこらした研修を続け、それらに乗り遅れることなく前進していくことが不可欠になっている。


     vol. 1〜3  「心」を思う その1・その2・その3

    ● vol. 4〜6   看護の自立をはばむもの その1・その2・その3

    ● vol. 7〜9   この時期になると浮かんでくるあの光景 その1・その2 私は言いたい、今だから言える

    ●
vol. 10〜12   看護の自立をはばむもの その4  開業ナースがゆく その1・その2

   vol.13〜15  開業ナースがゆくその3 看護の自立をはばむものその4-2 本当にほしいサービスができないわけ

   vol.16〜18 点滴生活雑感 ともに創る幸せ 看護の自立をはばむものその5

   vol.19〜21 ともに創る幸せ2 ともに創る幸せ3 ともに創る幸せ4

   vol.22〜24 ラーニングナースを位置づける その1なぜ必要か その2応援団はいる ナースの私が抱く疑問〜1.痰の吸引

   vol.25〜27  ナースの私が抱く疑問〜2 静脈注射 素敵なエッセイの贈り物 疑問は疑問、「今の時代って?」
  
    ●vol.28〜30  看護師の資格の意味を問う  感受性を揺さぶる学習環境が必要なのでは?  ラーニングナース制


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